絶体絶命とはこの様な事を言うのかも知れない。
新横綱として臨んだ三月場所、一人全勝街道を歩んでいた矢先の怪我であった。
素人の私が見てもとても相撲を取れる状態ではなく休場かとあきらめていたのだが、本割で勝利して優勝決定戦では執念の下手投げで照ノ冨士を退けた。
誰もが予想していなかったのか、座布団が舞っていない。それほどに観客は目の前で起きた勝敗を理解するのに時間を要したのである。
君が代の斉唱をしていた横綱の目には幾筋もの涙が溢れていた。
つい私ももらい泣きしてしまう。
稀勢の里関、感動をありがとう。
そして膝を痛めながらも頑張った照ノ冨士にも拍手を送りたいものだ。