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2019年06月01日

神社の境内にある茶室前の水琴窟

日射しが強く、早くも夏のような天気ですね。
先日、工事中のお客様より、「風鈴を取り付けたい」とご希望がありました。
軒下に吊るした風鈴が響き、畳の上で涼む。
最近はあまり見かけなくなった“日本の夏”の定番ですが、
この中には、蒸し暑い夏を越すための、先人の知恵が詰まっています。
強い日差しを遮る軒。
断熱性が高く、夏でもひんやりと感じる畳。
そして涼しげな風鈴の音色。
聴覚でも涼を得るとは、日本人の奥ゆかしさが表れていますね。

風情を感じる日本独自の音響装置は他にもあります。
日本庭園の装飾として代表的なししおどし。
“鹿脅し”や“獅子脅し”と漢字で表すとわかるように、もともとは鳥獣を追い払う農具でした。
水が流れる音、竹筒いっぱいに溜まるまでの間、そして竹が石を打つ音。
後に、風流だと庭園に設置されるようになりました。

さらに興味深いものが水琴窟(すいきんくつ)です。
これは、茶室の入口に設置された、手洗い場の排水装置。
地中に甕を埋めており、手を洗うと、甕底の水面に水適が落ち、
「ピチャン…ピチョン…」と音が反響します。
その音色が琴に似ていることから、水琴窟と呼ばれるようになりました。
排水さえも風情を感じさせる、茶道のおもてなし精神と庭職人の心意気に感服します。

川のせせらぎなど、水が流れる音は “涼しさ”や“癒し”を感じさせます。
これらは高周波で、本当に癒しの効果があるそうですよ。
今年の夏は、音でも涼を感じてみてはいかがでしょうか?


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